先輩と僕
「え、あたしの?」

店員は一瞬目を丸くすると、すぐにニヤッと笑って、

「16歳から35歳くらい」

と答えた。

「え?」

よくわからない返答に僕が混乱していると、店員は今貼ったばかりのポスターを指差した。

「これこれ」

そこには<16〜35歳くらいまでの男女>と、書いてある。

よく見れば、そのポスターはアルバイト募集のためのポスターだった。そして16〜35歳は、募集対象の年齢...。

僕がポスターを見ていると、店員が近寄ってきた。

そして座っている僕の目の前で屈み、こう言った。

「今ね、うち人手足りないんだー。高校生だよね?もう夏休み始まるなら、うちでバイトしない?」

僕は、店員の言ってる内容より、彼女がちょっと屈んだせいで襟元からチラ見えしている真っ赤なブラに注目してしまっていた。

「あ、はい、わかりました...」

ブラに必死だった僕は、なんだか適当に返事をしてしまった。

「えっ!ほんとー!やったー!店長ー!」

店員はすごいテンションで叫ぶと、はしゃぎながらどこかに走って行った。

真っ赤なブラが目の前から消えて正気にかえった僕は、なんだか話が勝手に進んでいってることに気づいた。

...なんか今、ここでバイトすることになった気がする...。

僕は少し焦った。

なぜなら僕は、生まれてから一度もアルバイトというものをしたことがない。

う、どうしたものか...。

これは面倒なことになったな、と思っていると、真っ赤なブラが...、いや、さっきの店員が、店長らしき男の人を連れて戻ってきた。
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