いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した
紅茶の菓子に甘い愛語りを
(一)
不思議の国のアリス症候群について説明するならば、まず自身の右手を見てほしい。
その右手はいつも見る右手だろう。手のひらも指も爪でさえも、見ていて“しっくりくる”はずだ。
馴染みある自身の手に違和感など覚えない、普通だとまた君はこの文字を平然と読む最中だが――アリス症候群はその普通が抜けていた。
手のひらの一部が膨張ないし、縮小。大きさも長さもちぐはぐで小人と巨人の手が混じり合った異物に感じられる。
事実的にはその者の手に異常などない、兼ねて言えば、視覚障害というわけでもない。
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