いかれ帽子屋はせせら笑い、ヤンデレ双子はただ愛した
この兄は表面上は素っ気ないが、案外甘い。兄としての頼りがいを持ちながら、弟想いなのだ。
右桜の拗ねた言葉で言い過ぎたかと謝るか迷う兄を見れば、やはり兄さんが兄さんで良かったと思う。
右桜は基本、甘えたがり。産まれた時が僅かに左桜が早かった双子にしても、その時間差で自分が甘えていいポジションにいられるのは非常に楽だった。
「転ばないように腕組んでいい?」
「成人した男同士でか」
「見ている人なんかいないよ」
「……」
むすっとしながらも何も言わないなら、勝手にしろという左桜の譲歩。その気持ちに甘えてと右桜は腕を組んだ。
これで少しはマシかと思えど、やはり頭がぐるぐるかき混ぜられる気分になった。