私の烏帽子さまっ!
『何言ってんの!?』
私は烏帽子の理解不能な行動と言動にもはやついて行けない。
『…ちょっと待って。これからもって、どういう意味?』
「ん、だから今日愛花に姿を現す数日前から愛花の部屋に住まわせてもらっていたということだ。」
『は…?じゃあ私が最近感じていた視線は烏帽子のせいだったのね。』
「そうだ。」
『そうだ…って、あんたね!』
あぁもう!ツッコミどころありすぎて、何て言えばいいのか分からない。
「…私が愛花の観察をしてしまったのは謝る。しかし愛花にしか頼るのがいなかったのだ。」
私に怒鳴られて、バツが悪そうな顔をする烏帽子。
『私しか頼れないって、どういうこと?私は微妙にしか霊感無いし、特別な能力も無いよ。』
「知ってる。」
…知ってるのか。
『じゃあ、どうして?』
「私が長い眠りから目覚めて、彷徨っている時、愛花を見つけた。その時、直感的に愛花が私の主になると思った。」
『でも…。』
「私は…!」
いきなり烏帽子は私の足元に跪いた。
『ちょっと、何してるの烏帽子!?立ち上がってよ。』
私が立ち上がらせようと烏帽子の腕を掴んだが、逆に烏帽子に手を封じられてしまった。
「私は、もう愛花が嫌がることはしないし、永遠に愛花を守ると誓う。今日みたいに怪我も治す。」
「それに…」
灰色の透き通った瞳が私を見つめる。
「愛花を1人にはしない。」
『……!』
そう言って握っていた私の手の甲に優しくキスを落とした。
私は何故か愛の告白を受けたように胸が熱くなった。
すると自然と私の口からこの言葉が紡ぎ出されていた。
『…分かった。』
「本当か!?」
しまったぁ!なんか雰囲気に流されてOKしてしまったよ!!
『いや、やっぱり…』
「ありがとう愛花!!」
私は否定しようとしたが、言葉を遮るかのように烏帽子は私に抱きついてきた。
『そんなあぁぁぁぁぁああ!!!?』
ぐぅ~~~~~~~!
盛大なお腹の音と共に、私の叫び声が家中に響き渡った。
こうして半ば強制的に私と烏帽子との生活が始まったのだ。