私の烏帽子さまっ!
第一章
帰り道。
長く伸びた影。
夕日の光。
告白には持って来いのシチュエーションだ。
しかし、幾度と無く出来たそんなシチュエーションにも関わらず、
今日もアイツはどこぞから私を見るだけだ。つまりは俗に言うストーカーに私は遭っている。
相手は誰だか分からないが、とにかく最近外に出るとやけに視線をかんじるのだ。
まぁ…高校デビューをして、中学時代よりはちょっぴりマシになったから、ストーカーの1人や2人なんてどーってことない!
なんておバカなことを考えてみる。
本当に最近は毎日がバカンスなのだ。
高校一年の春。新しい出会い。恋の季節。
恋する条件はいくらでも揃っている。
現に好きな人はいないが、友達と学校で毎日過ごす 平凡な日常が私にとって最高の幸せだ。
『こんな日がいつまでも続きますよーに。』
そう心の中で祈り、いつの間にか消えた誰かの視線を気にせずに、自分の帰る家を目指す。
これから起こる有り得ない出来事が私に降り懸かるなんて思いもせずに。