紙のない手紙
「ちょっと!いつまでしがみついてるのよ。みっともないわね~」







自転車を止めたリンが小馬鹿にしたように話しかけてきた。









「はぁ…もう疲れすぎて話す気にもなれん。」








俺はグッタリとした動きでリンの肩から手を離した。










「ここは何処なんだ…?」










衝撃の余韻がひどく、フラフラとした足取りで自転車から降りながら俺はリンに尋ねた。








「ここは……ポストよ。」



リンは自転車から降りながら言った。





「ポスト…?」









俺はすっとんきょうな声を出して辺りを見回した。








何処までも続いていそうな白い空間の中に、俺から見て前方には何か穴らしきものが足元にあり、背後にはさっき通ってきたと思われる漆黒の闇が広がっていた。







「まぁ、ポストってのは私達の間での俗称よね。正式には…かすがいの間…だったかな?まぁ、つまりはこの世とあの世を結ぶ場所よ。」










そう言ってリンは真っ白な空間の中にひとつだけある穴へと顔を向けた。











「ほら、あんたが見えるわよ。」
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