紙のない手紙
舌を噛んで以降、俺は一言も口をきかなかった。








いや、きけなかったが正しいだろう。









俺は情けなくも、か細いリンの両肩を強く握りながら、上下左右に動きまくる自転車の上で絶叫していた。








リンの漕ぐ自転車はとんでもないスピードで闇の中を落ちていった。









そんな絶叫タイムが4、5分続くとリンの肩越しに大きな光の穴が見えてきた。









その穴は長いトンネルの出口にあるような物で、外の景色はこちらからは窺えなかった。










リンにはスピードを落とす気配が微塵も感じられない。











おいおい…大丈夫なのかよ…











俺は眩しさと不安に負けて、これ以上ないくらい固く目をつぶった。
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