紙のない手紙
「うわぁ…すごいわね…あんたどうやって死んだのよ…」










トラックに正面からぶつかった。









俺はそう言おうとしたが、胸が押し潰されているかのようで何の受け答えも出来なかった。











平静を取り戻そうと荒い息をつく俺の隣ではリンがしかめた顔で穴を覗きこみ、その中では両親が大声で泣きわめいていた。











それから数分が経った。










「…本当に俺は死んだんだよな…?」








俺は信じたくなかった。









自分から死を望んでいたものの、あんな形で、自分の想像もしていなかった形で死にたくはなかった。









いや、死んだと思いたくないのかもしれない。



軽い気持ちでやっただけなのに、まさか、本当に死んでしまうなんて…









「あんたは、死んだわ。」









リンは素っ気なくそう言って、俺の抱いていた淡い期待を粉々に打ち砕いた。











何もない真っ白な世界の中で穴から聞こえる母の泣き声だけがはっきりと聞こえた。
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