紙のない手紙
「生きる……?」








不思議な事を言う奴だ。








おまえは死んだと言いながら、そいつに生きろと言う。









俺はその矛盾が少し可笑しく、軽い口調で話した。









「おいおい…俺は死んだんだろ?なら、さっさと生まれ変わったりしたらいいじゃないか…生きるって、意味わかんねーよ。」










俺がこう言うと、リンの背中越しに、大きなため息が聞こえてきた。









どうやら、俺はまた馬鹿にされるらしいな。










「あんたって…本気でバカね…」








初っぱなからですか…









リンは自転車をこぎながら、苛ついた口調で説明を始めた。










「いい?まず生まれ変わるなんて事はそんな簡単に出来ないわ。」







「何故だ?」








「人が産まれるのと死ぬのとではどっちが人数が多いと思ってるのよ?死ぬってだけでも、老衰とか事故とか殺人とか色々あんのよ?それに比べたら産まれる数なんて少ないに決まってんじゃない。」







あぁ…なるほど…




俺は呑気にただ頷いてリンの説明を聞いていた。
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