紙のない手紙
「その大勢の死者の中からほんの一握りの魂だけが生まれ変わることができるのよ。だから、そう簡単に生まれ変わる事はできないのよ。下手すれば何十年、何百年こっちにいなきゃならないのよ?」









「何百年!?」









俺はリンにしがみつくような勢いで答えた。








「…そう。だから、それまではこの世界で暮らさなきゃいけないのよ…」










リンが言い終えた時、遠くの方に先程の街が暗闇の中に浮かんでいるのが見えた。










「ゲッ!」









道に自転車を止めるなりリンが心底嫌そうな声を出した。










何なんだ。









俺はひょいとリンの肩越しに前方を見た。











何かに跨がった人がこちらに猛スピードで迫ってきていた。
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