紙のない手紙
「やぁぁっとみつけたぁぁぁっ!」








そいつはドップラー効果付きの大声で自転車の側に立つ俺達の側までやってきた。









「はぁはぁ…ぜっ…はぁ…」









そいつは着くなり死にそうな呼吸を繰り返し、白い目でリンを睨み付けていた。










リンはというと、マズったなといった顔で頭をかいている。









「おい、リン。こいつはいったい何なんだ?」








「はぁはぁ…こいつ…じゃ…ないっす…ボクの…名前…は…ガハッ!」










うん。

分かったから、君が死にそうな事と面倒くさそうな性格をしている事は分かったから、少し黙っていてくれ。










俺は無言のままどこか遠くを見ているリンにもう一度聞いた。










「おい、こいつは何だ?」
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