紙のない手紙
「……にがみ…」





リンはボソッと何かを言ったが、余りに声が小さすぎて聞き取れなかった。









「は?…何だって?」









「死神よ!し・に・が・み!」









マジデスカ











こいつが…あの…死神…?









俺が不審者を見るような目付きでそいつを見たにも関わらず、そいつは誇らしげに胸を張り、どうだとでも言いたげだった。










「ボクの名前は、鈴橋銀之助忠時っす!」






「嘘をつけ、嘘を。」








俺はそう言って人差し指でそいつの額を小突いてやった。









「あがぁ!何すんですか!」








「五月蝿い。お前が悪い。お前のような、ガキンチョがそんな雄々しい名前をしているものか!」










「あ…バカ…」










俺の言葉に反応したのは意外にも隣にいたリンだった。









その理由を俺はすぐに知ることになった。
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