紙のない手紙
「お金はこっちでは意味がないからっす。こっちでは、欲しい物があれば自分で生み出すか、他人の物を譲ってもらうかのどっちかっす。」







そ、そうなのか…




「も、もしかして、スッゴいお金持ちとかだったっすか?」


「い、いや…そういうわけじゃ…」



「…そうっすか…」





忠時は少しだけ安心したようだった。





「何でそんな事聞くんだ?」






「…ごくまれにっすけど、生前スッゴいお金持ちだった人がこの事を知って、怒ったり、ひどく落ち込んだりするっす……それで、ちょっと心配だったっす。」




「あぁ…」







確かに、必死に貯めた金が一気に0になったと聞かされりゃ、そうなるかな……でもな~もう、死んでるんだけどな。




そこまで金には執着したくないもんだ。
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