紙のない手紙
「何か心配っすか?」




俺は少し話すのをためらった。




俺が不安に思う理由は色々ある。俺は、高学歴や資格など就職に有利と言われているものは1つも持ち合わせていない。





そして、決定的なのは当の俺に働く意欲が全く無かった事だ。



結局、俺を雇う会社なぞなく、生きてる時にはフリーターとしてその日暮らしな生活をしていた。









こんな事を忠時に話してよいものかどうか分からなかった。







だが、どうやらこいつは俺が何か話すまで離れようとはしないし、俺を離す気もないらしい。









仕方なく、俺は話し始めた。













「…まぁ、その…なんだ…俺みたいな奴をだな…雇う…珍しい会社なんて……あるわけないしさ…」







すると、忠時は意外にも笑いながら返してきた。
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