紙のない手紙
子供かお前は…



俺が呆れて声を失っていると、リンは紙飛行機を持って歩き出した。








そして、白い空間にぽっかりと空いた穴の隣で立ち止まった。









「……この手紙はね、母親から子供達への手紙なの。」






俺はリンの傍へと足を進めた。







「この母親は生まれた時から持病があってね、出産には耐えられないって言われてたのに無理矢理産んだの。」








ここにその母親の手紙があるという事から、その結果は容易に分かる。








「自分は育てられない。あなたの将来を見たい。そんな思いが込められてる手紙なのよ。」









そう言って、リンは手からその手紙をこぼした。
< 56 / 106 >

この作品をシェア

pagetop