紙のない手紙
俺は目の前の車道を見る。








ガードレールはない。








車道は長い直線で、行き交う車はかなりのスピードを出している。










ふん…これなら、たぶん即死か…











…!……丁度良い…











俺は顔を右に向け、あるものを見つけて喜んだ。











かなり向こうの方からトラックが来ていた。












あれに当たれば、即死は間違いないだろう…












俺は半笑いを浮かべ、車道へと足を踏み入れる。










周りの奴は声をかけようとはしないだろう。









皆、自分の目の前に自殺しようとする奴がいるとは思わないからだ。










どうせ、俺が向こう側に渡ろうとしている程度にしか考えてないんだろ?









まぁ、見てなって…驚くぜ…













俺はゆっくりと足を前に出した。
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