紙のない手紙

思いを形に

お母さん…私、今日で20歳になりました。


もう大人なんだなぁ、しっかりしなきゃいけないと思ってるよ。



今日はお父さんが早く帰って来るって…会社の人に無理を言ったみたい…そこまでしなくてもいいのに…


何だか照れ臭いな…











そっちはどうですか?








「……はぁ…」









私は目を開き、軽くため息を吐く。








何度尋ねても私の母は、写真の中から微笑んでいるだけだ。








写真の中から私とそっくりな顔が微笑んでいる。


それを仕方ないと思ってもどこか寂しい。












私は…お母さん、あなたの声も温もりも知らない。
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