紙のない手紙
「あ…あぁ…」







私は何と言って良いのか分からなかった。











嬉しさやら驚きやらで胸が一杯になり、口に両手を当て、涙を溢しながら母を見ていた。











「恵里佳…ごめんなさい…貴方を育ててあげられなくて…」








母は深く頭を下げた。








「…いいよ、お母さん、もう…もう…」









私は止めどなく溢れてくる涙を拭いながら母へと声をかけた。
















聞こえているかは分からなかったが、母はただ穏やかな笑みを浮かべていた。
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