紙のない手紙
「あんた、また変な想像してんでしょ?催眠っていっても、操ったりは出来ないわ。単に意識が鈍くなるだけよ。言わば、夢現状態?」








「何だ…そういう事か…」








「そうしてボーッとしている所に、この手紙の主が現れて、その人の言葉で中身を伝えるの。」










そうか…だから、彼女は泣き出したのか…今まで見たことも無い母親に会う事ができ、更には声まで聞けたんだからな…











「ただ、何故そんな手間をかけるんだ?催眠状態にしなくたって別に良いじゃないか?」









俺の問いにリンは短く答えた。
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