紙のない手紙
愕然とする俺に、リンは追い討ちをかけてきた。






「今こうして、以前と変わらないように過ごしていても、私達は既に死んでいるのよ。そんな人が、もといた世界に頻繁に現れたらオカシイでしょ?」








「だけど、じゃあ、何のための手紙なんだよ?」








結局、夢で片付けられてしまうものに、俺は意味を見い出せなかった。






「それは……彼女を見れば、分かるじゃない?」










リンはそう言って、穴に映る景色を横目で見た。
< 72 / 106 >

この作品をシェア

pagetop