紙のない手紙

黒い封筒

俺がてがみ屋として働き出してから、1週間が経った。







俺は、フリーター時代に多くのバイトをこなしていたおかげか、仕事を覚えるのにそれほど時間はかからなかった。








ただ、何と言っても新米の身。







待遇が良いという事はなかった。









リンが乗っているような自転車は与えられず、俺は専ら足を使って手紙を配達していた。







しかし、それでもこの仕事は楽しいものだった。








俺がこの世界に慣れ始めていたせいもあるだろうが、手紙を届ける度にあちらの世界の景色が変わる様子は非常におもしろかったからだ。
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