琥珀色の誘惑 ―王国編―
「……あなたって、馬鹿?」


ミシュアル王子の俺様口調にイライラさせられたが、このラシード王子はそれ以上だ。
 
わかって口にしているのか、何もわかっていないのか、よくぞここまで、ボロカスに言ってくれるものである。


「馬鹿ではない! 日本人は皆そうだ」

「皆なわけがないでしょう!」

「いや! 僕がドバイのパーム・アイランドで会った日本人女性は皆そうだった!」


ラシード王子がいきなり立ち上がり声を荒げたので、舞は花瓶を構えた。

すると、彼がなぜか股間を押さえ、そのまま座り込む。


そしてポツリポツリと話し始めた。



ドバイ首長国はクアルンの隣の国である。

その中のパーム・アイランドは、ペルシャ湾上に観光資源の目的で作られた人工島群だ。二国間は友好的な関係のため、多くのクアルン王族がバカンスに訪れていた。

そこでラシード王子は身分を隠し、日本人女性に声を掛けたのだという。


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