琥珀色の誘惑 ―王国編―
「僕はこのまま裏庭に飛び出し、適当に暴れた後、これで自刃する」

「ラ、ラシード? 自刃の意味わかってる?」

「当たり前だ。君を殺そうとしたが出来なかったと叫ぶ。王子の乱心は伏せられ、きっと病死と発表されるだろう」


(こ、この国の人間て、どうしてすぐに死ぬの殺すのになっちゃうわけ?)


ラシード王子はグッとジャンビーアを握り締め、舞を見た。


「僕は謝らない。だが、君の名誉は守ろう、アッラーの名に掛けて」


(こんなトコでカッコつけてどうすんのよぉ!)


舞が叫ぼうとした瞬間、ラシード王子は裏の窓に手を掛け――押し開く前に、外からの力で開かれたのだった!


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