琥珀色の誘惑 ―王国編―
ラシード王子を動かすのは簡単だ。『お願いよ』と言えば『ラー(ノー)』とは言わない。

彼には、舞はふしだらな女だと散々吹き込んでおいた。経験の少ないラシード王子なら、違和感も気にせず抱いてしまうだろう。


だが、ミシュアル王子の厳格さは良く知っている。

となれば、おそらく……。

ラシード王子が舞の純潔を奪えば、永遠に厄介払いが出来る。



強引に扉を押し開けようとする女官らを後方から眺めつつ、ライラはほくそ笑んだ。


その時、離宮中央の間の扉が内側から開いた。


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