琥珀色の誘惑 ―王国編―
そのままゆっくり深呼吸して……舞は可能な限り平静を装い、ライラに尋ねる。


「ヌール様にもこのことを?」

「警護の者たちと確認してから、ご報告に参りますわ」

「だったら、こんな無駄なことで、お休みの邪魔をしないほうがいいと思いますけど……」

「無駄ですって?」

「ええ。不審者なんかいませんから。ライラ殿の気のせいですね」


舞は扉を開け放ち、ライラをはじめ女官らに中を見せた。

だが、ライラがそれだけで納得するはずはなく……。


「こちらからは見えない、扉の影やベッドの裏に潜んでいるやも知れませんわよ。そうは思いませんこと?」
 

意地悪そうに微笑むと、女官らに目配せをしている。


「アーイシャ様、不審者が隠れていてはいけませんので、失礼して中を確認させていただきます」


警護のふたりが離宮中央の間に足を踏み入れようとする。

だが舞は、戸口に立ちはだかり、


「断わります。わたしの部屋に勝手に入らないで下さい!」

「拒否するということは……後ろめたいことがあるからじゃなくて? そうでなかったら……」


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