琥珀色の誘惑 ―王国編―
「あの……僕がいるんですが……」
ふたりの唇が近づき、舞が目を閉じ掛けた瞬間――ラシード王子の声が聞こえた。舞は慌てて正気を取り戻す。
ミシュアル王子も、
「そ、そんなことは、わかっている。シド、引き上げるぞ!」
アタフタとしている所を見ると、弟のことなど完全に忘れていたに違いない。
(昼も夜もなんて……キャーどうしよう!)
一瞬でライラのことも、王子が産めるかという不安も吹き飛ぶのだから……ある意味、舞ほどこの状況に耐えられる女性はいないだろう。
「舞、我らは抜け道を通って外に出る。お前はこのまま」
「わたしも行くわ!」
「なっ……何を言う! 勝手に後宮から出るなど」
「違うってば。ヌール妃の後宮にある抜け道ってことは、わたしが知ってても構わないでしょう? 将来、わたしはここに住むって言ったじゃない」
ふたりの唇が近づき、舞が目を閉じ掛けた瞬間――ラシード王子の声が聞こえた。舞は慌てて正気を取り戻す。
ミシュアル王子も、
「そ、そんなことは、わかっている。シド、引き上げるぞ!」
アタフタとしている所を見ると、弟のことなど完全に忘れていたに違いない。
(昼も夜もなんて……キャーどうしよう!)
一瞬でライラのことも、王子が産めるかという不安も吹き飛ぶのだから……ある意味、舞ほどこの状況に耐えられる女性はいないだろう。
「舞、我らは抜け道を通って外に出る。お前はこのまま」
「わたしも行くわ!」
「なっ……何を言う! 勝手に後宮から出るなど」
「違うってば。ヌール妃の後宮にある抜け道ってことは、わたしが知ってても構わないでしょう? 将来、わたしはここに住むって言ったじゃない」