琥珀色の誘惑 ―王国編―
翌朝、早々にヌール妃から呼び出しが掛かった。
 

(説教かな……やっぱり)


王妃として相応しくありません、国に帰りなさい――とか言われたらどうしよう。

ミシュアル王子は庇ってくれるだろうか。マザコンとまでは言わないが、かなり母親に頭の上がらない王子様という気がしないでもない。

ところが……。


「ラシードがとんでもない真似をしたそうですね。どうかマイ、許して下さい」
 

人払いをするなり、ヌール妃は舞に謝罪して日本式に頭を下げた。 


「と、とんでもないです! わたしこそ、あの……ああいった場所で、ああいうことを……えっと」

「朝早く、アルから書簡が届きました。ライラには既に釘を刺しておきました。でも、あの娘も悪い子ではないのよ。幼い頃からアルを一途に思ってくれて……ただ、王の正妃にと言うのが、マッダーフの願いだったから」


ヌール妃は、もし最初からミシュアル王子が王太子であったなら、その時はライラと婚約させた、という口ぶりだ。

舞はそのことをストレートに尋ねてみる。


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