琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ええ、そうですね。そのほうが軋轢も生まず、ハルビー家との関係も良好に保てるでしょうから」


適当に誤魔化さず、ヌール妃はハッキリと答えてくれた。


「マイ、気を悪くしたかしら?」

「いいえ。だって誰が見ても、わたしよりライラのほうが王妃に相応しいです。だから、不思議だったんです。王太子になった時、婚約者が日本人であることに凄い反対があったと聞きました。それなのに、どうして……」


舞はずっと気にしていた。

四分の一日本人の血が入った王太子なら、妻にはクアルン人を選んで当然だと思う。ミシュアル王子のことは好きだ。今はきっぱり、愛していると言える。彼の傍にいたいし、子供だって産みたい。

でも、産まれた子供はミシュアル王子以上に色々言われ、苦しい人生を強いられるんじゃないだろうか?


「最初はわたくしの我侭でした」

「え? わ、がままですか?」


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