琥珀色の誘惑 ―王国編―
「そう。今よりもっと閉鎖的で、前国王はハーレムを作り何十人もの妻を持っていました。後宮に呼ばれては散々嫌な思いをして……。ささやかな反抗だったのです。第一王子の妻に日本人を、と」
ヌール妃を愛していた夫・カイサル王子は、王族の長老たちに必死で掛け合ったという。
何と七年近くもの歳月を掛け、ようやく認められた。ただ、それと同時に第二王子の婚約も整う。相手は長老たちが薦める、有力部族の娘だった。
「でもね……今から五年前、アルが王太子になられた時に、わたくしは言いました――」
ミシュアル王子の立場が変わった以上、婚約を白紙に戻し、クアルン王族に繋がる娘を娶ったほうが良いのではないか?
「アルはなんて?」
「あなたには何も言いませんでしたか?」
「わたしには……」
ヌール妃を愛していた夫・カイサル王子は、王族の長老たちに必死で掛け合ったという。
何と七年近くもの歳月を掛け、ようやく認められた。ただ、それと同時に第二王子の婚約も整う。相手は長老たちが薦める、有力部族の娘だった。
「でもね……今から五年前、アルが王太子になられた時に、わたくしは言いました――」
ミシュアル王子の立場が変わった以上、婚約を白紙に戻し、クアルン王族に繋がる娘を娶ったほうが良いのではないか?
「アルはなんて?」
「あなたには何も言いませんでしたか?」
「わたしには……」