琥珀色の誘惑 ―王国編―
ただ一つの例外が、同じアラブ国家の王女である場合。これは政略結婚が当然のように繰り返されてきた名残である。
「国王は義務により、正妃を娶らなくてはならないの。だから今、長老会議に通している最中なのよ。あなたを正妃として認めないなら生涯正妃は娶らない、という要望をね」
「もし……通らなかったら?」
「国王を下りるか、形だけの正妃を娶って体裁を整えるか……」
「そんなの嫌です! そんな……今更」
「とにかく、まだ答えは出ていません。あなたはアルを夫と決めたのでしょう? ならば、彼を信じ従いなさい。それが王妃となる者の役目です。あなたが見苦しく騒げば、正妃はおろか王妃にも相応しくないと思われますよ」
ヌール妃は厳しく舞を叱った。
だがミシュアル王子は、十五年も考える時間があったのだ。
一方、舞は婚約を知ってわずか一ヶ月足らず。運命を信じ、ミシュアル王子だけを信じて異国の王宮まで来たのに……。
「国王は義務により、正妃を娶らなくてはならないの。だから今、長老会議に通している最中なのよ。あなたを正妃として認めないなら生涯正妃は娶らない、という要望をね」
「もし……通らなかったら?」
「国王を下りるか、形だけの正妃を娶って体裁を整えるか……」
「そんなの嫌です! そんな……今更」
「とにかく、まだ答えは出ていません。あなたはアルを夫と決めたのでしょう? ならば、彼を信じ従いなさい。それが王妃となる者の役目です。あなたが見苦しく騒げば、正妃はおろか王妃にも相応しくないと思われますよ」
ヌール妃は厳しく舞を叱った。
だがミシュアル王子は、十五年も考える時間があったのだ。
一方、舞は婚約を知ってわずか一ヶ月足らず。運命を信じ、ミシュアル王子だけを信じて異国の王宮まで来たのに……。