琥珀色の誘惑 ―王国編―
「だから……なの? わたしに考える時間もくれず、自分の都合だけで、こんな……」
舞は自分の考えをミシュアル王子にぶつける。
「違う」
「何処が違うのっ!? ライラを選ばなかったのは、ラシードの愛する女性だから? それとも、高潔で高邁なミシュアル王太子殿下には、十五年前の婚約の誓いを守る義務があったからっ?」
その瞬間、爆発したようにミシュアル王子は叫んだ。
「ああ、そうだ! 一度、アッラーに立てた誓いは必ず守る。例外は一つもない! 父上の体調はここ数年思わしくなかった。一刻も早く、妻を娶る必要があった。だからこそ、婚約者のお前を自ら迎えに行き、連れ帰ったのだ! 言ったはずだ――私は両親の選んだ娘を花嫁とし、王位を継ぐ――と」
舞は俄かに思い出す。「運命により決められた結婚」「愛は無関係」ミシュアル王子の心はあの時のままだった。
舞が“愛情”を求めたから、手に入れる為に“それ”を与えただけ……。
「愛してるって……それも嘘だったんだ」
「私は、嘘は吐かない。舞、お前は結婚の動機に愛情を求めた。私はそれを差し出したはずだ! 愛情以外に動機があったからといって、責められる謂れはない!」
舞は自分の考えをミシュアル王子にぶつける。
「違う」
「何処が違うのっ!? ライラを選ばなかったのは、ラシードの愛する女性だから? それとも、高潔で高邁なミシュアル王太子殿下には、十五年前の婚約の誓いを守る義務があったからっ?」
その瞬間、爆発したようにミシュアル王子は叫んだ。
「ああ、そうだ! 一度、アッラーに立てた誓いは必ず守る。例外は一つもない! 父上の体調はここ数年思わしくなかった。一刻も早く、妻を娶る必要があった。だからこそ、婚約者のお前を自ら迎えに行き、連れ帰ったのだ! 言ったはずだ――私は両親の選んだ娘を花嫁とし、王位を継ぐ――と」
舞は俄かに思い出す。「運命により決められた結婚」「愛は無関係」ミシュアル王子の心はあの時のままだった。
舞が“愛情”を求めたから、手に入れる為に“それ”を与えただけ……。
「愛してるって……それも嘘だったんだ」
「私は、嘘は吐かない。舞、お前は結婚の動機に愛情を求めた。私はそれを差し出したはずだ! 愛情以外に動機があったからといって、責められる謂れはない!」