琥珀色の誘惑 ―王国編―
「えっと……ごめんなさい」


別に舞のせいではないのだが、なんとなく謝ってしまう。

すると、ヤイーシュはふわっと笑った!


実は、このヤイーシュの変貌ぶりに舞は軽いパニックに陥っている。

誤解とはいえ、娼婦扱いされたうえ、ジャンビーアで斬られそうになったのだ。あの時のヤイーシュの様子から考えて、きっと舞がミシュアル王子の妃になることに大反対されるのだろう、と覚悟していた。

ところが、ところが、である。

成田空港で顔を合わせた時、ヤイーシュはまるで別人のようになっていた。

ターヒルと一緒に舞のサイズに合った服を揃え、食事や飲み物の用意、入浴の準備までしてくれる。

もちろん、ふたりきりになることはなく、常に彼の両脇に補佐のような十代の少年が付いていたが……。

ちなみに、その少年らはヤイーシュと同じ部族で、順番に外遊のお供をしているのだという。将来王宮で勤めるための勉強とかで、舞の顔を見るのも恥ずかしそうでほとんど俯いていた。


舞はそんなヤイーシュのことを、


(アルってば、相当きつく叱ったのね)


と思っていた。

でも、あの時の舞の行動は、ヤイーシュにとって“とんでもない”もので……。


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