琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ねえ……本当にここに隠れていたらいい、ってヌール妃が言ったの?」
「はい。アーイシャ様のお心を気遣われ、考える時間を作って差し上げたい、との思し召しでございます」
ふたりは朽ちかけた屋敷の前に立ち、女官クブラーは済ました顔で答えた。
クブラーは元々ヌール妃に仕えていた女官だ。そのせいか日本語がとても上手い。日本の食事や習慣もよく知っていて、お茶の横に梅干が添えられていた時は、泣けるほど嬉しかった。
心から「ありがとう」と言った舞に、クブラーはこう答えたのだ。
「ヌール様のお心遣いです。そして、ヌール様から私はひとつの使命を頂きました」
「……使命?」
「はい」
クブラーは静かに微笑してうなずいた。
そして、彼女は舞を後宮から見事に連れ出してくれたのである。
「はい。アーイシャ様のお心を気遣われ、考える時間を作って差し上げたい、との思し召しでございます」
ふたりは朽ちかけた屋敷の前に立ち、女官クブラーは済ました顔で答えた。
クブラーは元々ヌール妃に仕えていた女官だ。そのせいか日本語がとても上手い。日本の食事や習慣もよく知っていて、お茶の横に梅干が添えられていた時は、泣けるほど嬉しかった。
心から「ありがとう」と言った舞に、クブラーはこう答えたのだ。
「ヌール様のお心遣いです。そして、ヌール様から私はひとつの使命を頂きました」
「……使命?」
「はい」
クブラーは静かに微笑してうなずいた。
そして、彼女は舞を後宮から見事に連れ出してくれたのである。