琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞がそのことを口にすると、クブラーも同意した。
「はい。それがクアルンでは賢明な生き方でございます。私も、息子と家族の為、運命を受け入れました」
クブラーは初めて仕えた屋敷で、主人に愛人として扱われた。
彼女が産んだ息子は跡継ぎにする、と言われ、正妻の元に引き取られたという。
その後、主人の紹介で嫁いだが……倍以上歳の離れた夫はすぐに亡くなり、彼女は未亡人となった。日本語が話せたことから、五年前王妃となられたヌール妃に仕えるべく、後宮に上がったのだという。
舞から見れば波乱万丈の人生に思える。
だが、クブラーはまだ三十八歳。息子は今年二十歳。しかし、二十年前に別れたきりで一度も会ったことはない。そう言ってクブラーは目を伏せた。
「ねぇ、クブラー。アル……殿下には、ヌール様から説明して頂けるのよね?」
「――はい」
今日の夕方には、ヌール妃がミシュアル王子を王宮に呼び、舞に一週間の猶予を与えるよう説得してくれると聞いた。
ミシュアル王子が黙って許してくれることを、心から願う舞だった。
「はい。それがクアルンでは賢明な生き方でございます。私も、息子と家族の為、運命を受け入れました」
クブラーは初めて仕えた屋敷で、主人に愛人として扱われた。
彼女が産んだ息子は跡継ぎにする、と言われ、正妻の元に引き取られたという。
その後、主人の紹介で嫁いだが……倍以上歳の離れた夫はすぐに亡くなり、彼女は未亡人となった。日本語が話せたことから、五年前王妃となられたヌール妃に仕えるべく、後宮に上がったのだという。
舞から見れば波乱万丈の人生に思える。
だが、クブラーはまだ三十八歳。息子は今年二十歳。しかし、二十年前に別れたきりで一度も会ったことはない。そう言ってクブラーは目を伏せた。
「ねぇ、クブラー。アル……殿下には、ヌール様から説明して頂けるのよね?」
「――はい」
今日の夕方には、ヌール妃がミシュアル王子を王宮に呼び、舞に一週間の猶予を与えるよう説得してくれると聞いた。
ミシュアル王子が黙って許してくれることを、心から願う舞だった。