琥珀色の誘惑 ―王国編―
『アーイシャ様はお疑いの様子もなく……。離宮の西の部屋に入られました』
クブラーが静々と頭を下げた相手は――ライラであった。
『外は危険だと伝えたわね?』
『はい。この町は砂漠に近く、多くのベドウィンが行き交い、中には王族に不満を持つ部族もいると伝えました。アラビア語以外は通じず、外国人の珍しい地域なので、決して屋敷の外には出ないように、と』
カンマン市にある離宮は、王太子の宮殿などに比べれば微々たる面積だ。しかし、日本の一般住宅に比べれば……豪邸並の広さだろう。
舞は今回のことをヌール妃の手配と信じている。
このまま、結婚式前夜にミシュアル王子が迎えに来ることを信じて、待ち続けるはずだ。
だが、どんな答えを出しても、舞がミシュアル王子と会うことは二度とない。
ライラは、それを許すつもりはなかった。
クブラーが静々と頭を下げた相手は――ライラであった。
『外は危険だと伝えたわね?』
『はい。この町は砂漠に近く、多くのベドウィンが行き交い、中には王族に不満を持つ部族もいると伝えました。アラビア語以外は通じず、外国人の珍しい地域なので、決して屋敷の外には出ないように、と』
カンマン市にある離宮は、王太子の宮殿などに比べれば微々たる面積だ。しかし、日本の一般住宅に比べれば……豪邸並の広さだろう。
舞は今回のことをヌール妃の手配と信じている。
このまま、結婚式前夜にミシュアル王子が迎えに来ることを信じて、待ち続けるはずだ。
だが、どんな答えを出しても、舞がミシュアル王子と会うことは二度とない。
ライラは、それを許すつもりはなかった。