琥珀色の誘惑 ―王国編―

(4)シークの花嫁

赤、青、緑、金色……そこは極彩色のタイルで彩られていた。

今、舞のいる場所は、なんとお風呂。

三メートル四方のタイル張りで、中には深さ五十センチ程度のお湯が張ってあった。

水不足なのにいいのかな? と思いつつ、誰もいなかったら浮かんでみるのに、などと呑気なことを考えてしまう。

そうなのだ。浴室内の二ヶ所の入り口に女官がひとりずつ座っている。闖入者のないように見張りをしているらしい。

そして舞の傍には、ひとりの少女が大きな白い布を抱えて立っていた。


「ねえ、シャムス。どうせだったら一緒に入らない?」

「まあ! 恐れ多い」


黒くて大きな目を更に見開いてシャムスは答えた。

背は舞よりだいぶ低い。でも健康的ではちきれそうな身体をしていた。声も大きく、屈託なく良く笑う。年齢を聞いたとき、なんと十八歳と言われびっくりした。

だが更に驚いたのは、十六歳の時から宮殿に上がり、ミシュアル王子の妃に仕えるために、日本語以外にもたくさんのことを学んだ、ということであった。


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