琥珀色の誘惑 ―王国編―
しかし、会話の内容から正規の手続きを踏んでいる時間は残されていなかった。
その時、側近のひとりがライラあてに電話を転送した、と言って大広間に駆け込んで来る。相手はクブラーらしい。
だが、ライラでなければ頑として話さないという。
ミシュアル王子は電話をライラに渡すが、彼女は一切受け取ろうとしなかった。
『ライラ、それで勝ったつもりか? 後悔することになるぞ』
ミシュアル王子はひと言言い捨て、手にしたICレコーダーのスイッチを押す。
すると、『……わたくしよ。わかるでしょう?』数時間前に録音されたライラの声が流れた。
ライラが慌てて口を開こうとした時、ミシュアル王子はその口元を、ジャンビーアの刃で塞いだのである。
「ライラ様でございますねっ? 大変なことになりました! アーイシャ様に逃げられてしまったのです。それも……禁じられた車を運転して。町の無法者が女の運転に気付き追い回していたとか……そのまま砂漠に逃げ込まれた、と。ライラ様、すぐに王太子殿下にご連絡を! 軍を動員して砂漠を探索して下さいませっ!」
その場にいた日本語のわかる者は、一斉に真っ青になった。
その時、側近のひとりがライラあてに電話を転送した、と言って大広間に駆け込んで来る。相手はクブラーらしい。
だが、ライラでなければ頑として話さないという。
ミシュアル王子は電話をライラに渡すが、彼女は一切受け取ろうとしなかった。
『ライラ、それで勝ったつもりか? 後悔することになるぞ』
ミシュアル王子はひと言言い捨て、手にしたICレコーダーのスイッチを押す。
すると、『……わたくしよ。わかるでしょう?』数時間前に録音されたライラの声が流れた。
ライラが慌てて口を開こうとした時、ミシュアル王子はその口元を、ジャンビーアの刃で塞いだのである。
「ライラ様でございますねっ? 大変なことになりました! アーイシャ様に逃げられてしまったのです。それも……禁じられた車を運転して。町の無法者が女の運転に気付き追い回していたとか……そのまま砂漠に逃げ込まれた、と。ライラ様、すぐに王太子殿下にご連絡を! 軍を動員して砂漠を探索して下さいませっ!」
その場にいた日本語のわかる者は、一斉に真っ青になった。