琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ですから、聞いているのは私です。舞様、結婚式を四日後に控えたあなたが、どうして砂漠の真ん中で……しかも、そんな姿でいるんですか?」


ヤイーシュは青いターバンの口元を顎の下まで引き下げ、顔を露にした。

雲ひとつない空と同じくらいキラキラした青い瞳は、舞の脚をジッと見下ろしている。

舞は慌てて腰のダンゴを解き、スカートの裾を整えた。

ヤイーシュもハッとして咳払いをすると、


「あ、あなたは……そんなに肌を露出させ、この砂漠を歩いていたんですか?」


照れ隠しのように説教臭い口調になる。


「ロングだと動き難くて……えっと、アバヤは忘れちゃって」

「宗教的な問題ではない! 砂漠には毒蛇や毒蜘蛛もいる。それをあなたは……日本のビーチを歩くのとは訳が違うんだ!」

「は、はい。すみません」


彼は出身部族に戻っているとミシュアル王子は話していた。

ということは、アル=バドル一族が今この近くにいるのだろう。それを尋ねると、ヤイーシュは憮然として溜息を吐きつつ、部族について教えてくれたのだった。


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