琥珀色の誘惑 ―王国編―
(7)シークのプロポーズ
舞がヤイーシュに再会した場所から、馬で約二時間。更に、太陽が傾く方角に向かって走り続け、ようやくたくさんのテントが見えてきた。
テントと言っても日本でキャンプに使うようなものではない。
焦げ茶色の天幕が張られ、何本ものロープで支えられた十人以上で寝られる頑丈そうなものだ。天幕は黒いヤギの毛で編んだ布で、通気性と遮光性に優れているという。
ほとんどが、支柱が二本ある大きなもので、その横に支柱が一本の小さなテントもちょこちょこ見えた。
テントの向こう側には草があり、たくさんのヒツジがいる。
ヤイーシュから、アル=バドル一族が扱うのは主にヒツジだと教えられた。
「ラクダはいないの?」
「移動用にいます。ラクダの遊牧は王族にしか許されていません。アル=エドハン一族がラクダを扱っていて、彼らに問題が生じた時は預かることもあります」
「それって……アルの?」
「そうです。我らと違い、しきたりにうるさい部族ですから。その姿で訪ねたら、砂漠の真ん中に放り出されることでしょう」
ヤイーシュは嫌味ったらしく舞を見て笑っている。
テントと言っても日本でキャンプに使うようなものではない。
焦げ茶色の天幕が張られ、何本ものロープで支えられた十人以上で寝られる頑丈そうなものだ。天幕は黒いヤギの毛で編んだ布で、通気性と遮光性に優れているという。
ほとんどが、支柱が二本ある大きなもので、その横に支柱が一本の小さなテントもちょこちょこ見えた。
テントの向こう側には草があり、たくさんのヒツジがいる。
ヤイーシュから、アル=バドル一族が扱うのは主にヒツジだと教えられた。
「ラクダはいないの?」
「移動用にいます。ラクダの遊牧は王族にしか許されていません。アル=エドハン一族がラクダを扱っていて、彼らに問題が生じた時は預かることもあります」
「それって……アルの?」
「そうです。我らと違い、しきたりにうるさい部族ですから。その姿で訪ねたら、砂漠の真ん中に放り出されることでしょう」
ヤイーシュは嫌味ったらしく舞を見て笑っている。