琥珀色の誘惑 ―王国編―
身柄を拘束されているとはいえ、ライラの扱いは客人。離宮の使用人は命じられるまま、ライラに食事を運んでくる。

ライラは威厳を保ちつつ、使用人に写真立ての行方を尋ねた。


『あの女の方が、この部屋に入っておられましたけど……』


食事を運んで来たのは、舞にアラビア語で声を掛けた若いメイド。ライラはこの時、舞が写真立てを持ち出したことを知る。


舞は写真立ての裏を開けたのだろうか?

そして、全てを知った上で持ち出したのか? 


もしそうなら、彼女が無事にミシュアル王子と再会した時、全てが白日の下に晒されてしまう。


再び、砂漠に月が昇り、鋭い月光がライラの横顔を照らしていた。


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