琥珀色の誘惑 ―王国編―
考えれば考えるほど昔のコンプレックスが顔を出し始める。「やっぱりわたしなんて」と穴を掘って、砂漠に埋まってしまいそうだ。
「舞様……まだ、起きておられますか?」
テントの入り口から声がした。ヤイーシュである。
「も、もちろん、起きてますっ!」
そう答えると、ヤイーシュがテントに戻って来たのだ。彼は何かを手にしている。
舞が尋ねるまでもなく……「これは、舞様の落し物ですか?」と差し出された。
それは、舞が離宮から持ち出したライラの写真立て。コンパクトなサイズだった為、メイドに声を掛けられた瞬間、ポケットに入れてしまったのだ。
あの時はすぐに返そうと思っていた。だがクブラーの企みを聞いてしまい、すっかり忘れていた。
写真そのものはキャッシュカードより少し大きいくらいか。
「舞様と出会ったカンマン市近くで、一族の者が拾ったようです。あなたの物かも知れないと、私の許に持って来たのを、うっかりしていました。ですがこれは……軍務大臣の娘、ライラ様では?」
ヤイーシュの言葉に舞は驚いた。
「舞様……まだ、起きておられますか?」
テントの入り口から声がした。ヤイーシュである。
「も、もちろん、起きてますっ!」
そう答えると、ヤイーシュがテントに戻って来たのだ。彼は何かを手にしている。
舞が尋ねるまでもなく……「これは、舞様の落し物ですか?」と差し出された。
それは、舞が離宮から持ち出したライラの写真立て。コンパクトなサイズだった為、メイドに声を掛けられた瞬間、ポケットに入れてしまったのだ。
あの時はすぐに返そうと思っていた。だがクブラーの企みを聞いてしまい、すっかり忘れていた。
写真そのものはキャッシュカードより少し大きいくらいか。
「舞様と出会ったカンマン市近くで、一族の者が拾ったようです。あなたの物かも知れないと、私の許に持って来たのを、うっかりしていました。ですがこれは……軍務大臣の娘、ライラ様では?」
ヤイーシュの言葉に舞は驚いた。