琥珀色の誘惑 ―王国編―
ハッと目覚めた時、馬のいななきと男性の怒鳴り合う声が、舞の耳に飛び込んできた。


ヤイーシュの求婚といい、写真立ての件といい、それにミシュアル王子との結婚も……。

時間はないのに考えることは山のようだ。


(全然、眠れないっ!)


と思いつつ……ふと気付けば、朝までグッスリ寝ていた自分に、舞は呆れ果てる。 



「舞様、よろしいですか?」

「ヤ、ヤイーシュ? どうぞ」


慌てて毛布に体を包み、とりあえず手櫛で髪を整える。だが鏡もないので、どんな状態か自分では全然わからない。


「おはようございます。――やはり起こしてしまいましたね。夜明けと共にお騒がせして申し訳ありません」


ヤイーシュの様子は昨夜と同じだ。本当に外で立っていたのかも知れない。

それを考えると、しっかりと眠ってしまった自分が恥ずかしくて、まともにヤイーシュの顔が見られない。


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