琥珀色の誘惑 ―王国編―
「は、はあ」
繊細で色鮮やかなペルシャ絨毯が敷かれ、アラビア風の花瓶や調度品に囲まれて……ピンクや黄色のポップな丸型提灯が十個ほど吊るされている。
ちょうど盆踊りなどで見かけるタイプだ。どんな文献を参考にしたのか不明だが、お盆提灯や組名の入ったものじゃなくて、とりあえず舞はホッとした。
「えっと……ありがとう、アル」
舞が微笑むとミシュアル王子も満足そうに頷き、「礼はこの者たちに」そう言った。
いきなりの提灯に気を取られていたが、後宮の玄関口には二十人あまりの女性が床に平伏していた。
ほとんどが舞の母より上の年代の女性であろう。ミシュアル王子の説明によると、八割方が寡婦……なんらかの事情で夫と死に別れた女性たちだった。
その中でひとりだけ、妙に若い少女が最前列に伏している。
「シャムスだ。話し相手によかろうと同じ年代の娘から選んでおいた」
シャムスは床に跪いたまま、手を前に組み綺麗な日本語で言ったのだ。
「シャムス・ビント・サルマーンです。お美しいお妃様にお仕えすることが出来、幸せでございます」
繊細で色鮮やかなペルシャ絨毯が敷かれ、アラビア風の花瓶や調度品に囲まれて……ピンクや黄色のポップな丸型提灯が十個ほど吊るされている。
ちょうど盆踊りなどで見かけるタイプだ。どんな文献を参考にしたのか不明だが、お盆提灯や組名の入ったものじゃなくて、とりあえず舞はホッとした。
「えっと……ありがとう、アル」
舞が微笑むとミシュアル王子も満足そうに頷き、「礼はこの者たちに」そう言った。
いきなりの提灯に気を取られていたが、後宮の玄関口には二十人あまりの女性が床に平伏していた。
ほとんどが舞の母より上の年代の女性であろう。ミシュアル王子の説明によると、八割方が寡婦……なんらかの事情で夫と死に別れた女性たちだった。
その中でひとりだけ、妙に若い少女が最前列に伏している。
「シャムスだ。話し相手によかろうと同じ年代の娘から選んでおいた」
シャムスは床に跪いたまま、手を前に組み綺麗な日本語で言ったのだ。
「シャムス・ビント・サルマーンです。お美しいお妃様にお仕えすることが出来、幸せでございます」