琥珀色の誘惑 ―王国編―
お世辞でも嬉しい、と答えた舞に、ミシュアル王子はそうではない、と教えてくれた。

なんと、クアルンでは背が高いほど美人と呼ばれる。そして、お尻や胸の豊かさが美しさの基準であった。多産、安産型で母乳がたくさん出る、ということらしい。

このシャムスも、日本なら「ダイエット!」の対象にされそうだが、クアルンでは理想的な健康美人だという。


どちらにしてもシャムスの日本語は素晴らしく、しかも女官の半数が日本語で挨拶をしてくれた。

舞はお茶やお花ではなく、アラビア語の勉強でもさせてくれたら良かったのに……と少しだけ父に文句が言いたくなる。


「時間はいくらでもある。真っ白な状態から学ぶほうが良い。私とは違い、お前はクアルン国民となるのだから」
 

そんな言葉を残し、ミシュアル王子は国王に呼ばれて宮殿からいなくなった。


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