琥珀色の誘惑 ―王国編―
(なっ、なんで? どうしてよぉ)
その時、ふわっとテントの入り口が捲れ上がった。
舞はそのことに気付き、肩を揺すって笑う男たちの背後を注視する。そこから身を屈めてテントに滑り込んできたのは、白いトーブに白いグトラ、そして白い布で口元を覆う男性――ターヒルだった。
舞がアッと叫ぶより早く、男のひとりがターヒルに気付いた。
しかし、ターヒルは手にしたジャンビーアの柄頭(つかがしら)で男の鳩尾を突き上げ……ひとり目の男はアッサリ崩れ落ちる。
舞の隣にいた女性は、突如押し入ってきたターヒルの姿に小さな悲鳴を上げた。
だが、外の連中はこの騒ぎのせいで誰も気付かない。
ふたり目は、さすがにジャンビーアに手を掛け、アラビア語で叫びながら剣を抜こうとしたが……。
ターヒルは身を屈めた体勢から、反動を使って左脚を蹴り上げる。それは真下からふたり目の男の顎を捉えた。
結局、ふたり目も剣を抜くことすら出来ず、絨毯の上に転がった。
「タ、タ、ターヒル? なんで?」
「舞様、先ほどの発音では――わたしは寝室です。国王陛下や王太子殿下は使うことを許可しません――となります。発音は正確に、そして女性形と男性形があるので、英語と同じように考えてはいけません」
その時、ふわっとテントの入り口が捲れ上がった。
舞はそのことに気付き、肩を揺すって笑う男たちの背後を注視する。そこから身を屈めてテントに滑り込んできたのは、白いトーブに白いグトラ、そして白い布で口元を覆う男性――ターヒルだった。
舞がアッと叫ぶより早く、男のひとりがターヒルに気付いた。
しかし、ターヒルは手にしたジャンビーアの柄頭(つかがしら)で男の鳩尾を突き上げ……ひとり目の男はアッサリ崩れ落ちる。
舞の隣にいた女性は、突如押し入ってきたターヒルの姿に小さな悲鳴を上げた。
だが、外の連中はこの騒ぎのせいで誰も気付かない。
ふたり目は、さすがにジャンビーアに手を掛け、アラビア語で叫びながら剣を抜こうとしたが……。
ターヒルは身を屈めた体勢から、反動を使って左脚を蹴り上げる。それは真下からふたり目の男の顎を捉えた。
結局、ふたり目も剣を抜くことすら出来ず、絨毯の上に転がった。
「タ、タ、ターヒル? なんで?」
「舞様、先ほどの発音では――わたしは寝室です。国王陛下や王太子殿下は使うことを許可しません――となります。発音は正確に、そして女性形と男性形があるので、英語と同じように考えてはいけません」