琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞はヤイーシュの行動を“ミシュアル王子を試した”と思っているが、実際は逆。彼が試したのは“舞”だった。


ターヒルからの連絡を受け、ヤイーシュは舞を試したことは言わず、保護していることだけを伝えた。

ところが、ターヒルは、『アーイシャ様が自ら殿下の許に戻るように仕向けたい』と言いだし、ヤイーシュはその案に便乗したのである。


――まず、ターヒルが舞をこっそり連れ出す。前後して、ミシュアル王子に「舞を選ぶ」といった言葉を口にして貰う。そうなればすぐに、ヤイーシュは剣を引く予定にしていた。

どちらが勝っても負けても、一族の人間はそれを口外することはない。

そして舞の存在も……正規軍である衛兵部隊を入れなかったのはそういう理由でもある。


『あの娘……どんな条件にも応じなかった』 

『ああ、そうであろうな』

『殿下と結婚できないのなら、ひとりで国に戻ると言ったのだ』


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