琥珀色の誘惑 ―王国編―
なぜか、面会の前にお風呂に入るように言われた。

実はこの離宮に来てから、水浴びくらいでお風呂には入れて貰えなかった。水は貴重だから、浴槽ってないのかも、と舞は思っていたくらいだ。

しかし、王太子の後宮ほどではないが、日本の一般家庭に比べたら、よほど大きな浴槽があるではないか。

この時、舞は自分が客人ではなく、幽閉同然だったことにようやく気付いたのである。



「ねぇ、アルが言ったの? お風呂に入れてから連れて来いって」

「いや。だが、気を利かしたのであろうな」

「気を……利かすって」

「決まっておろう。夜伽(よとぎ)の女を、汗と埃まみれでベッドにはやれないと思ったのだ」


夜伽の言葉に舞が反論しようとした瞬間、ミシュアル王子の唇に阻止された。

それは、随分久しぶりのキスだ。熱い吐息が口の中に流れ込み、細胞の一つ一つに彼の想いが沁み込み……舞の身体は満たされて行く。

何で後宮を飛び出したのか。何をあんなに怒っていたのか。何もわからなくなるくらい、煽情的な口づけでミシュアル王子は舞を翻弄した。


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