琥珀色の誘惑 ―王国編―
朝方、といっても夜明け前。
舞はそっとミシュアル王子のベッドから下り、洗面所に向かった。
衛兵がいるので、一々アバヤを被らないといけないのが少し面倒だ。個室にトイレが付いていたら便利なのに、と思いつつ舞は廊下をなるべく音を立てず歩く。
昨夜のミシュアル王子は、情熱的で男性的で、大人だった。舞に合わせて“待つこと”を学んでくれている気がする。
思えば、確かに彼は嘘をついてはいない。
舞は正妃の条件を聞いた瞬間、まだ嘘をついていないだけで、絶対に嘘をつくことになる、と決め付けてしまった。
ミシュアル王子は舞の愛情と信頼に「一生涯の誠実を持って応える」「私の全てはお前のもの」と応えてくれたことがある。
(アッラーの誓いは死んでも守る! って言うアルを信じよう!)
怒って癇癪を起こすのは、ミシュアル王子が誓いを破ってからでも遅くはない。
不思議と今の舞は「彼ならきっとなんとかしてくれる」と思えるのだ。これも、昨夜の情熱と優しさの影響かも知れない。
などと、傍から見たら不気味な笑顔を浮かべつつ……ふと思い出したのがミシュアル王子の“ジャンビーア”のこと。
舞はそっとミシュアル王子のベッドから下り、洗面所に向かった。
衛兵がいるので、一々アバヤを被らないといけないのが少し面倒だ。個室にトイレが付いていたら便利なのに、と思いつつ舞は廊下をなるべく音を立てず歩く。
昨夜のミシュアル王子は、情熱的で男性的で、大人だった。舞に合わせて“待つこと”を学んでくれている気がする。
思えば、確かに彼は嘘をついてはいない。
舞は正妃の条件を聞いた瞬間、まだ嘘をついていないだけで、絶対に嘘をつくことになる、と決め付けてしまった。
ミシュアル王子は舞の愛情と信頼に「一生涯の誠実を持って応える」「私の全てはお前のもの」と応えてくれたことがある。
(アッラーの誓いは死んでも守る! って言うアルを信じよう!)
怒って癇癪を起こすのは、ミシュアル王子が誓いを破ってからでも遅くはない。
不思議と今の舞は「彼ならきっとなんとかしてくれる」と思えるのだ。これも、昨夜の情熱と優しさの影響かも知れない。
などと、傍から見たら不気味な笑顔を浮かべつつ……ふと思い出したのがミシュアル王子の“ジャンビーア”のこと。