琥珀色の誘惑 ―王国編―

(5)愛は危険がいっぱい

一番気になったのは、舞と変わらないくらいの身長だ。

年齢は舞より少し上であろうか? 綺麗に整えられた眉、彫りが深くクッキリと見開いた瞳、薄めの唇を引き締めて、その女性は舞を睨みつけている。

朱色のノースリーブシャツの胸元から、はち切れそうなアーモンド色の谷間が見え、剥き出しの肩に少し波打った茶髪が掛かっていた。


「……ライラ様」


シャムスが舞の後ろで小さく呟いた。

どうやら侵入者ではなく、関係者のようだ。舞がシャムスに「誰?」と尋ねようとした時、その女性は声を上げた。


が、アラビア語なので意味がさっぱりわからない。


舞がポカンとしていると、今度は急に日本語に切り替えたのだ。


「いつまで立っているつもりなの? 控えなさいっ!」

「は?」

「まさか……本当に連れて来るなんて。しかも、わたくしに無断でこの宮殿に入れるなんて……酷いわ!」


シャムスが頭を下げながらスッと舞の前に立った。


「ライラ様、お妃様は入浴中でございます。外でお待ち……」

「なんてこと! シャムス、この女はアルの妃ではないわ! 訂正なさいっ」

「いえ、ミシュアル様のご命令でございます。“お妃様”とお呼びするように、と」


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