琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ちょっと待ってよ! ねえ、ライラ。どうして? たかが写真一枚じゃない。撮影の日付だって……。ねえ、その写真に写ってるのは誰? ライラの本当のお母さんじゃないの?」

「舞、滅多なことを口にするものではない! それに……テーブルを下ろしなさい」

「へ?」


舞はテーブルを持ち上げていたことを忘れていた。

だが、思い出した瞬間、あまりの重さに足元がふらつき……ミシュアル王子が飛びついて、舞の手からテーブルを取り上げ床に下ろしてくれた。


「こんなものを、どうやって」


ミシュアル王子も絶句している。

舞も、もう一度やれと言われたらちょっと無理だろう。



ふたりの様子を見ていたライラは口元を歪め、笑顔らしきものを作り……


「写真の赤ん坊はわたくしの娘、アーイシャよ。わたくしは昨年の四月、この離宮で娘を産んだの」


それは、衝撃の告白だった。


< 277 / 507 >

この作品をシェア

pagetop